建築屋さん必見!? 建築内観写真を魅力的に撮る7つのコツ


建築内観写真の目的は?


実は私、建築士なんです。
元々、住宅の現場監督や設計・店舗家具の設計などをやっていました。

ですので、
住空間をどのようにすれば魅力的に見せれるか?
というテーマで長年研究してきました(笑)

写真一つで建築物の見栄えがガラッと変わってしまいます。

企業戦略的な見地で捉えると
『ターゲットに対して魅力を最大限に伝える写真』
というのが理想であり、目的とするべきではないでしょうか?



室内住空間を広く・美しく表現する

室内住空間を表現するにあたりマストとなる写真があります。

それは、住空間全体を魅力的に見せるための写真です。

より広く・より美しく

上の写真はモダンなモデルハウス。
シンプルながら重厚なイメージも兼ね備えています。

このような写真を撮るためにはコツがあります。



コツ①・・・とにかくレンズが最重要


広く・美しく撮るためには
レンズの能力による制約を受けます。
適したレンズとは?

①広い画角を持つ超広角レンズ

画角が広ければ、広範囲を写し込むことが出来て空間を広く表現することが出来ます。

どのようなレンズが良いかというと
【画角が広い=焦点距離が短いレンズ】
ということになります。

ちなみに、iPhone 8 の画角は75度で焦点距離は約28mm(35mm判換算)。
iPhone 8 で撮影してもあまり広く感じないですよね。

ということは、
一般的なキットレンズの広角端=28mm(35mm判換算)=iPhone 8 と同じ広さの表現
ということになります。

理想は15mm~21mm(35mm判換算)くらいあると空間を広く表現することが出来ます。

かといって、
それ以上を求めると非現実味が強くなり
そこに自分がいるという感覚をイメージ出来なくなってしまい
マイナス効果になることもあるので要注意です。

超広角域は取り扱い要注意でもあります。



②歪曲収差 (ディストーション)の少ないレンズ

住空間を美しく表現するためには、
縦の線も横の線もどこの位置でもまっすぐであることが理想とされます。


例えば魚眼レンズで住空間を撮影したとします。
画角は広いので、広さだけは表現できますが、
縦の線も横の線も周辺に行くにしたがい湾曲がとても大きくなり
とても見れたものではありません。

魚眼レンズは、樽型の歪曲を積極的に利用したレンズです。
樽型の歪曲収差 (ディストーション)が大きく発生してしまいます。

つまり、どこの位置でも直線をまっすぐ表現するためには、
歪曲収差 (ディストーション)の小さいレンズが有利です。

私の使用しているレンズ

Kowa PROMINAR 8.5mm F2.8 MFT

マイクロフォーサーズマウントの超広角単焦点レンズ
電子接点を持たないマニュアルフォーカスしかできないレンズだが、
超広角レンズはマニュアルフォーカスの方が良いと思っているくらい。
指がかりが良くしっとりとしたトルクが気持ち良い、
とても使いやすいレンズだ。

肝心の画質は、とても解像感が高くヌケが良くキレがある。
構造上、収差を抑えるのが難しい超広角レンズにもかかわらず周辺の色収差も少ない。
特筆すべきは歪曲収差 (ディストーション)が極めて少ないこと。
わずか0.12%に抑えられている。

とても建築撮影向きのレンズだ。

レンズに迫力がありOM-Dに取付けた姿もカッコいい。


コツ②・・・三脚を使って水平・垂直に構える

必ず三脚は使うべし

縦の線である壁や柱と
横の線である梁・床と壁の境・天井と壁の境・カウンター等を
キチンとまっすぐに表現するためには、カメラを水平垂直に構える必要があります。
精度と作業効率を考えて、三脚を必ず使いましょう。
それも左右の傾斜・前後の傾斜・向き(パン)の三軸を別々に操作できる
3ウェイ雲台がベストです。


オススメ三脚

SLIK 三脚 プロ 700 DX-III N 3段 大型 105719

ガッチリ安定、雲台の微調整もしやすく、最高の高さも高いので外観での撮影にも重宝する。
基本性能が高いプロ仕様のモデルなので、長く相棒として使えます。

重さがあるのも安定性につながってます。旅行やアウトドアには別な三脚を用意しましょう。


私の相棒

GITZO 3Way雲台 ロープロファイル 2型 G2271M

微調整がとってもなめらかな動きで、締めるとガッチリとホールド。
このコンパクトさでこのフィーリングはとても貴重です。

足は用途に合わせて使い分けてます。

あと、何よりGITZOは丈夫でカッコイイ。


水準器を使って水平・垂直に構える

水平垂直に構えると下の写真のように
水平のラインと垂直のラインが気持ちよくまっすぐに並びます。

自分の目で水平垂直を出すのは至難の業です。
水平器に頼りましょう。
カメラに内蔵されているモノでも良いですし、三脚の雲台に内蔵されているモノでも良いです。
カメラのホットシューに水平器を取り付けても作業性が高くて良いです。
ただし、安いものは水平が合わないモノもあるので要注意です。



コツ③・・・ISO感度は画質最優先

三脚使用が前提となります。

ISO感度は画質最優先で設定します。OM-DであればISO200です。

しっかりとした三脚で固定すれば
シャッター速度が遅くても手ブレは起こしません。


コツ④・・・絞りも画質最優先

レンズの特性を見て解像度が最高になる絞りを選択するのが基本です。

そして、近景と遠景が混在する場合は、どちらにもピントが合うように絞り込みます。

被写界深度を意識してピントの置く位置と絞りを決めます。

ピント面より手前の被写界深度は浅いので要注意です。

心配であれば、絞りを変えて数ショット撮っておいた方が安心です。


コツ⑤・・・シャッター速度が遅い場合は2秒タイマー

コツ③・コツ④で設定した結果、シャッター速度が遅くなる場合があると思います。
その場合、ガッチリとした三脚で固定していても、シャッターを切る際に少しだけブレてしまうことがあります。

それを防ぐ方法として、2秒タイマーがオススメです。
通常のタイマーだと10秒待たなくてはならないので、待ち時間がもったいないです。
2秒タイマーはカメラに内蔵されていることが多く、気軽に使えて便利な機能です。

風景撮影にも使えます。


もっとサクサクとシャッターを切りたいという人には、レリーズスイッチがオススメです。
これならカメラに触れずにシャッターを切れるのでブレの心配がありません。

下の商品は、多機能なタイマーが付いており、様々な使い方も出来る優れものです。


コツ⑥・・・自分の写り込みに注意する

せっかく綺麗に撮れたと思ってもPCのモニターでよく確認すると、窓ガラスに自分が写り込んでいた!!?
良くあることなので要注意です。特に撮影に熱中していると気づきません!
注意すべきところは、窓ガラス、鏡、扉、金属面、金属パーツなどです。

どうしても写り込む場合は、写り込む被写体に対して真正面にならないように構図を変えましょう。
フォトショで消すという手法もありますが、手間が掛かるのでなるべく現場でリスクを潰しましょう。


コツ⑦・・・写真の仕上げ方は建築物の雰囲気に合わせる

建築物の雰囲気に合わせて、写真の仕上げ方も変えましょう。

上の写真のようにモダンでシャープな建築物の場合は、キッチリをした画作りを。
解像度が高くシャープでコントラストも高めに調整します。

逆にフレンチナチュラルの様なテイストの場合は、あえてアンニュイな感じを出したりします。
絞りを開けてピントを一部に合わせ、奥の背景はアウトフォーカスとして柔らかく見せます。
コントラストも下げ、彩度も下げます。

その建築物、その住空間の魅力をターゲットとなる人達に魅力的に伝えるというのが、ビジネス上の建築写真の持つ目的となります。


まとめ

以上の7つのコツを意識することで『室内住空間の全体を魅力的に見せるための写真』が見違えるハズです。

これをベースとし、部分的に表現する写真、例えば魅力的な部分にフォーカスし背景をぼかす写真であったり、生活感をより意識させる為の人物を絡めた写真などを織り交ぜて、その建築物の魅力を伝えていくとより効果的です。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。



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